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自治体封筒評論家の運営するブログ

東京で消耗しない暮らしの手触りを|高知県宿毛市

自治体封筒を手にした時、どんなものを珍しく思うか・面白いと思うかを尋ねられることがあるが、実の所明確な基準はない。心底、全ての封筒を愛おしく感じているし、凡庸と思われる封筒ほど、親しみも感じている。

ただ、高知県宿毛市の封筒には驚いた。

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そもそも、フルカラー印刷の自治体封筒は決してメジャーではない。製作に予算を割けないことも多くあるだろう。フルカラーというだけで「どうして」と関心は惹かれる。その上、クラフト紙である。この優しい手触り。Web上では手触りまで共有できないのが惜しまれる。

高知県宿毛市。訪れたことのある人はどれくらいいるのだろうか。私は高知県にそもそも足を踏み入れたことがない。高知県宿毛市は人口2万人の大きくはない市だ。高知県の中でも西端に近く位置し、文旦の有数な産地でもある。移住政策に力を入れている甲斐あってか、国全体・高知県全体の合計特殊出生率よりも高い数字を宿毛市は記録している(平成25〜29年)。

この封筒の入手経路には「ふるさと納税」が含まれている。封筒もよく見れば宿毛市役所企画課の封筒だ。かなり力の入っている市町村はともかく、ふるさと納税は「企画課」とかそういった名前の部署が管轄していることが多い。民間企業でいうところの「経営企画」的な部署がイメージとしては近いと思う。商品企画の「企画」とは違う(と私は思っている)。

ということは、企画課以外の汎用封筒はこんなにカジュアルなものではないのではないか。

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……勘のいい読者の方は気づいただろうが、これはそう、企画課の長3封筒。先の角2と異なり、クラフト紙ではないが、フルカラー印刷が用いられている。鰹が飛び出しているこのイラスト、左右反転して活用しているんだなぁ、等、ほのぼのポイントは存する。一つだけ注文をつけるならば、透かし防止の地紋だ。これは既存のパターンにしているのではないかと思うが、せっかくなら宿毛市の市章を利用してほしかった。透かし防止の地紋がオリジナルだと分かると、封筒評論家はとても嬉しい。

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これだよこれ……! と思わずガッツポーズしたくなるこの汎用長3封筒。色みは2枚目の方が再現できていて、こう、役所封筒っぽい薄ピンクです。市章、部署チェックボックス、マスコットキャラクタ(宿毛市のはなちゃん)、何らかの施策アピールコピー、広告。満漢全席。

この画像では分からないだろうが、汎用封筒、そもそもピンクの用紙を利用しているわけではないようで、中面は白色なのである。ピンクの色紙を使うよりこっちの方が安く製作できるのでしょうか。封筒製作自体はやったことがないので、相場勘が分からず悔しい。広告はとりあえず郵宣協会が代理店として入っていることが分かる。分かるが、広告入り封筒に広告代理店がどこか書いてあるのって一般的だったろうか、あんまり記憶にない。単に集められてないだけかもしれない。

移住促進の企画課の封筒の手触りと、汎用封筒の要素一通り取り揃えているこの感じに、舌鼓。部署によってここまで違う封筒の様子があるから、自治体封筒収集はやめられないんだよなぁと感じる事例でした。

※封筒に関する意見・見解についてはブログ執筆者個人のものですので、当ブログの内容を自治体や関係者へお尋ねにならないようお願いいたします。