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自治体封筒評論家の運営するブログ

同じ封筒、違う封筒|横浜市長選挙に伴う選挙管理委員会の封筒

2021年8月22日、日曜日。この日、横浜市長選挙の投開票が行われた。選挙の内容・結果についての言及は避けるが、市長の方向性が変わることで封筒の意匠が変わる可能性について、封筒評論家として慎重に動向を見守っていきたい。

さて、選挙というと封筒。投票の案内が封書で来るのだ。来るのだ、と言い切ったが、これは自治体によるらしく、関東在住の友人は「投票の案内は葉書で来る」ということを教えてくれた。非常に驚いた。今まで横浜市台東区でしか投票はしたことがないが、いずれも封書だったので、すっかり「投票の案内は封書で来る」と思い込んでいたのだ。したがって、今回の市長選挙に伴う選挙の案内が入った封筒を手に入れられるのか、分からなかった。そもそも封筒がない可能性ということにも、留意していかないといけない。

おわかりいただけただろうか

今回、2枚の封筒を入手することができた(ご協力いただいた方には感謝してもしきれない)。とやかく書く前に、まず見ていただきたい。

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おわかりいただけただろうか。

勿体ぶってもしょうがないので話を進めると、片方は行政区無指定の封筒で、もう片方は「鶴見区選挙管理委員会」の封筒なのである。無指定の方は、差出人部分も窓開きになっていて、恐らく何区の選挙管理委員会のものであっても利用できる。

これだけだとそういうこともあるという気がするが、なぜ鶴見区は独自の封筒を用意するに至ったか? なぜ他の行政区と異なるものを利用したのか? というのはかなり気になる。行政区は、東京都にある特別区と異なり、基礎自治体ではない。行政区の首長は公選制でなく、ざっくり言うと、大きい市の行政を効率的に運用するために区分けされているに過ぎない(ざっくりすぎるし、何か間違っていたら訂正します)。つまり、地方自治の最小単位として、行政区があるわけではないので、行政区ごとの自治カラーが必ずしも濃いかというとそうでもない局面は珍しくないのだ。もちろん、行政区ごとにいろんな封筒を用意することもある。選挙管理委員会以外の封筒で私が現時点で所持している封筒でも、横浜市は区ごとに様々な封筒を用意しているようだ。

それにしても、この封筒、微妙なところの違いが気になる。

「世帯全員分」の謎

行政区無指定の封筒は、投票の案内が世帯全員分入っていると明記してある。しかし、鶴見区の方は、世帯全員分が入っているとは明示されていない。ひょっとすると鶴見区民一人一人に分けて送っているのかもしれない。

世帯ごとに案内を交付しないといけない、と言う決まりは恐らくないだろう(あるのだろうか)。そもそも、この案内がなくとも指定の投票所に行けば基本的には投票できる。世帯全員分をまとめて交付することのデメリットといえば、DV等への対応ができないことではないだろうか。世帯員の中でなんらかのトラブルがある場合、投票の案内がどうなるのか、その事務を私はよく知らない。

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裏面の文言も微調整されている。なぜ入手した鶴見区の封筒が殊更にご本人分のみ(と感じられる)封筒なのかは分からない。もしくは、世帯全員分であることを強調した行政区無指定の封筒の方が「新しい」可能性も検討したが、これは同じ日に投開票する同じ目的の選挙の案内なのだ。「余っていた分を持ち越して使った」と言う可能性は排除してもいい。

一体なぜこういう差があるのか。地方自治は謎が多い。

封筒は総じて優秀な出来

ちょっと偉そうな見出しになってしまったが、シンプルで、それでいて市民へ寄り添いたい感じもあり好感を持った。

透かし防止の地紋がイコットちゃんであるだけでなく、封筒のベロ裏もなかなかいい。

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「投票にイコット!」と言う呼びかけ。ジーンと来るじゃないか。若年層の投票率向上を狙っているのではないかと勘繰っている。イコットちゃんも、線の感じからしてベタな公共ゆるキャラとは少し違う印象がある。灯台下暗しな感じな上に足元フラフラしてるのは大丈夫なのか分からないが、イコットちゃんはかわいい。

ハサミがなくても開けられる封筒。とにかく、投票に来て欲しいという選管の強い意志を感じられる。

透かし防止の地紋のイコットちゃんは、投票箱に投票している別のイラストを利用している。この芸の細かさに気づいた横浜市民はどれくらいいるだろう。どんどん細かな意匠を凝らして欲しい。私がきっと封筒を入手したときには、封筒の細部に宿る自治の情熱を見つけるのだから。

それにしても、鶴見区選管用の封筒がある理由は謎だ。ひょっとしたら調べてみるかもしれない。その際には続報を書きます。

次回予告! 「横浜市ブランディングを封筒から読み解きたい」。乞うご期待。