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自治体封筒評論家の運営するブログ

再生出来ない窓からRESTART|北海道夕張市

関連当事者には大変申し訳ないが、野次馬根性で私はずっと夕張市の封筒を手に入れたい、せめて見たい、と思っていた。封筒はコストを掛けても掛けなくてもよいが、地方自治には間違いなく欠かせないもの。夕張市の封筒であれば、ミニマムの封筒の基準が見えるかもしれない、と期待していた。

夕張市は全国唯一の財政再生団体とされている。夕張市のwebサイトにある市長のあいさつには、3パラグラフのなかに2度「全国唯一の財政再生団体」と出てきている*1。これは全くの不名誉で、逆手にとってどうにか出来るものでもない。

つまり、端的に言って、日本でお金が一番ない自治体だ。企画所管課や財政所管課はどうしているのだろう。毎年非常に胃が痛くなりそうだ。


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これは、その夕張市役所税務課の封筒。長3窓あきという普通の封筒に見えるが、先入観故か、ああ、夕張市だなぁと思う点がいくつかあった。

透かし防止の地紋がない

税務所管課は大体、個人情報を多く扱うので、窓あき封筒を持っている。そしてその中身が透けないように、模様が入っていることがかなり多い。透かし防止の地紋、と私は呼んでいる。

この透かし防止の地紋を入れるためにいくらかかるのかは分からないが、印刷箇所が増えるので単純に工数が増え、単価も増えるのではないかと思う。透かし防止の地紋を削れば、コストも多少削減されるのではないか。

窓の素材

窓あきの封筒は、自治体の場合、これも再生可能な素材を利用していることが多いように思う。窓部分を分解しなくても、そのままぽいっと古紙回収に出せるのだ。古紙回収に出すくらいなら私に譲っていただきたいものだが……。

これが、画像だと分かりづらいだろうが、夕張市の窓はセロハン(?)だった。そのまま古紙回収に出すべき素材ではない。

尤も、封筒の窓は別に再生素材でなくてもいい。郵便は届くし、再生素材で作るべしという法律もない。だから、ここを再生素材にしないことで浮くコストもあるんだろう、と思うのだ。

茶封筒に黒字、一面印刷

何より、封筒の地色はポピュラーな茶封筒、字色も黒のみ、と最低限の構成だ。封筒フラップ部分にも印字はなく、一面のみ。最低限の印刷面だ。

これ自体は格段にコスト削減という印象はないが、他の要素も相俟って、まぁそうなるよなという感想になる。この構成が一番安価なのだろう。

RESTART Challenge More.

だからこそ、私はこの、RESTART Challenge More.が気になった。なくてもいい、でもあった。2021年現在北海道知事の、前・鈴木市政時代の言葉のようだ。市長は変わっているのに封筒は変わっていない。平成31年4月に厚谷氏が市長に着任してから変わっていないのは、封筒が未だに余っているからか、それを変更しなくてもいいからか、かなりの鈴木体制支持なのか……。

ただ、なんとなく、他の自治体よりも一層制約のきつい予算の中で、これを入れた・残したところに、私は地方自治の矜持のようなものを感じ、非常に胸が熱くなったのだ。私は、夕張市を応援したい。自治体が不幸な形でなくなっては、封筒もなくなるのだ。頑張れ夕張市。いつか、再生可能な窓になるよう。

*1:2021年7月24日現在