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自治体封筒評論家の運営するブログ

お知らせ丨Notionに封筒画像置き場を移しました

本流とはあんまり関係のない話なのですが、封筒画像置き場をTumblrからNotionに移しました。Notionはほとんど利用したことがなく、とはいえ流行ってるし会社で活用出来たりするかな〜ウーーーンと考えていたところでの、閃きでした。あ! 封筒画像! と。

govenvelope/Souko Notion

↑こちら。

Tumblrのデータをほぼそのまま持ってきているので、数年前の文章と対峙する瞬間がありやや険しかったのですが、だいたい完了しました。また、データベースの効果的な活用方法を教えてくれたj氏に感謝です。

都道府県毎にヘッダ画像も一応バリエーション揃えてみたので、ちら見していただけると嬉しいです。

早速いくつか新規画像も公開しました。今年こそ封筒評論家として売れたい、というわけでNotionを活かしてどんどん封筒という水を皆さんにもシェアしていこうと思いますので、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 

再生出来ない窓からRESTART|北海道夕張市

関連当事者には大変申し訳ないが、野次馬根性で私はずっと夕張市の封筒を手に入れたい、せめて見たい、と思っていた。封筒はコストを掛けても掛けなくてもよいが、地方自治には間違いなく欠かせないもの。夕張市の封筒であれば、ミニマムの封筒の基準が見えるかもしれない、と期待していた。

夕張市は全国唯一の財政再生団体とされている。夕張市のwebサイトにある市長のあいさつには、3パラグラフのなかに2度「全国唯一の財政再生団体」と出てきている*1。これは全くの不名誉で、逆手にとってどうにか出来るものでもない。

つまり、端的に言って、日本でお金が一番ない自治体だ。企画所管課や財政所管課はどうしているのだろう。毎年非常に胃が痛くなりそうだ。


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これは、その夕張市役所税務課の封筒。長3窓あきという普通の封筒に見えるが、先入観故か、ああ、夕張市だなぁと思う点がいくつかあった。

透かし防止の地紋がない

税務所管課は大体、個人情報を多く扱うので、窓あき封筒を持っている。そしてその中身が透けないように、模様が入っていることがかなり多い。透かし防止の地紋、と私は呼んでいる。

この透かし防止の地紋を入れるためにいくらかかるのかは分からないが、印刷箇所が増えるので単純に工数が増え、単価も増えるのではないかと思う。透かし防止の地紋を削れば、コストも多少削減されるのではないか。

窓の素材

窓あきの封筒は、自治体の場合、これも再生可能な素材を利用していることが多いように思う。窓部分を分解しなくても、そのままぽいっと古紙回収に出せるのだ。古紙回収に出すくらいなら私に譲っていただきたいものだが……。

これが、画像だと分かりづらいだろうが、夕張市の窓はセロハン(?)だった。そのまま古紙回収に出すべき素材ではない。

尤も、封筒の窓は別に再生素材でなくてもいい。郵便は届くし、再生素材で作るべしという法律もない。だから、ここを再生素材にしないことで浮くコストもあるんだろう、と思うのだ。

茶封筒に黒字、一面印刷

何より、封筒の地色はポピュラーな茶封筒、字色も黒のみ、と最低限の構成だ。封筒フラップ部分にも印字はなく、一面のみ。最低限の印刷面だ。

これ自体は格段にコスト削減という印象はないが、他の要素も相俟って、まぁそうなるよなという感想になる。この構成が一番安価なのだろう。

RESTART Challenge More.

だからこそ、私はこの、RESTART Challenge More.が気になった。なくてもいい、でもあった。2021年現在北海道知事の、前・鈴木市政時代の言葉のようだ。市長は変わっているのに封筒は変わっていない。平成31年4月に厚谷氏が市長に着任してから変わっていないのは、封筒が未だに余っているからか、それを変更しなくてもいいからか、かなりの鈴木体制支持なのか……。

ただ、なんとなく、他の自治体よりも一層制約のきつい予算の中で、これを入れた・残したところに、私は地方自治の矜持のようなものを感じ、非常に胸が熱くなったのだ。私は、夕張市を応援したい。自治体が不幸な形でなくなっては、封筒もなくなるのだ。頑張れ夕張市。いつか、再生可能な窓になるよう。

*1:2021年7月24日現在

東京で消耗しない暮らしの手触りを|高知県宿毛市

自治体封筒を手にした時、どんなものを珍しく思うか・面白いと思うかを尋ねられることがあるが、実の所明確な基準はない。心底、全ての封筒を愛おしく感じているし、凡庸と思われる封筒ほど、親しみも感じている。

ただ、高知県宿毛市の封筒には驚いた。

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そもそも、フルカラー印刷の自治体封筒は決してメジャーではない。製作に予算を割けないことも多くあるだろう。フルカラーというだけで「どうして」と関心は惹かれる。その上、クラフト紙である。この優しい手触り。Web上では手触りまで共有できないのが惜しまれる。

高知県宿毛市。訪れたことのある人はどれくらいいるのだろうか。私は高知県にそもそも足を踏み入れたことがない。高知県宿毛市は人口2万人の大きくはない市だ。高知県の中でも西端に近く位置し、文旦の有数な産地でもある。移住政策に力を入れている甲斐あってか、国全体・高知県全体の合計特殊出生率よりも高い数字を宿毛市は記録している(平成25〜29年)。

この封筒の入手経路には「ふるさと納税」が含まれている。封筒もよく見れば宿毛市役所企画課の封筒だ。かなり力の入っている市町村はともかく、ふるさと納税は「企画課」とかそういった名前の部署が管轄していることが多い。民間企業でいうところの「経営企画」的な部署がイメージとしては近いと思う。商品企画の「企画」とは違う(と私は思っている)。

ということは、企画課以外の汎用封筒はこんなにカジュアルなものではないのではないか。

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……勘のいい読者の方は気づいただろうが、これはそう、企画課の長3封筒。先の角2と異なり、クラフト紙ではないが、フルカラー印刷が用いられている。鰹が飛び出しているこのイラスト、左右反転して活用しているんだなぁ、等、ほのぼのポイントは存する。一つだけ注文をつけるならば、透かし防止の地紋だ。これは既存のパターンにしているのではないかと思うが、せっかくなら宿毛市の市章を利用してほしかった。透かし防止の地紋がオリジナルだと分かると、封筒評論家はとても嬉しい。

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これだよこれ……! と思わずガッツポーズしたくなるこの汎用長3封筒。色みは2枚目の方が再現できていて、こう、役所封筒っぽい薄ピンクです。市章、部署チェックボックス、マスコットキャラクタ(宿毛市のはなちゃん)、何らかの施策アピールコピー、広告。満漢全席。

この画像では分からないだろうが、汎用封筒、そもそもピンクの用紙を利用しているわけではないようで、中面は白色なのである。ピンクの色紙を使うよりこっちの方が安く製作できるのでしょうか。封筒製作自体はやったことがないので、相場勘が分からず悔しい。広告はとりあえず郵宣協会が代理店として入っていることが分かる。分かるが、広告入り封筒に広告代理店がどこか書いてあるのって一般的だったろうか、あんまり記憶にない。単に集められてないだけかもしれない。

移住促進の企画課の封筒の手触りと、汎用封筒の要素一通り取り揃えているこの感じに、舌鼓。部署によってここまで違う封筒の様子があるから、自治体封筒収集はやめられないんだよなぁと感じる事例でした。

※封筒に関する意見・見解についてはブログ執筆者個人のものですので、当ブログの内容を自治体や関係者へお尋ねにならないようお願いいたします。